2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「のれん式」という仕事の作法  その6

<のれんの中にイエがある> 店舗の暖簾、その初期の段階では、目隠し・日除け・埃除けという物理的機能に加え、目印になる図形とか屋号などを布に染め込むことによって、店の独自な存在を示す記号的要素を生み出しました。そして商人たちが武家を真似て自家…

「のれん式」という仕事の作法 その5

<布きれ一枚、そのこちら側> ──── 「暗い」 暑い夏の日ざしを避けて、丸に越の字の紺暖簾をくぐって店内に入ったとたん、高橋義雄の受けた印象がこれであった。 (同じ三井でありながら、銀行とはまるで違う。明治の御世も二十八年というのに、ここはまだ…

「のれん式」という仕事の作法 その4

<いつもの名前で出ています> 室町時代に、民家の生活用品としての暖簾が商家の商売用具としての暖簾に転化しました。そしてその商売用具としての暖簾には、商業の発展とともに、つまり商家の活動の充実とともに、新しく二つの大きな状況が生まれました(完…

「のれん式」という仕事の作法  その3

<暖簾は内、暖簾は外> * 訂正です。日本の暖簾の実用的機能として、「日除け・埃除け」と書いてきましたが、あとから言及するという意識が災いして肝心なことを除外していました。「日除け・埃除け」だけではなく、当然のことながら「目隠し」の用途があ…